源氏物語と香り「効果とテクニック」
いかがお過ごしですか?
源氏物語には香りの描写が多く登場します。その多くはお香です。
文字だけでは伝わらない情景をより鮮明にイメージできる効果だと思うのですが、紫式部さんはそのテクニックをわかって執筆したのでしょうか?
今でも多くの作家さんは香りの描写でより具体的なシーンを表現しています。
さて、紫式部さんの意向はわかりませんが、平安時代にはお香が流行っていたという事実があります。それは機能的でもあり、感情的でもあったようです。
香りの描写からそのエピソードの季節感がわかります。また、心もあらわしていた例でいうと、3 帖「空蝉」(うつせみ)では、身分の違いから身を隠してしまった光源氏の想いびとが残した薄衣を、自分の身に掛け眠りにつくシーン、その感情は理解できてしまいます。女人はどんなお香を衣に薫きしめていたのでしょうか?
さらには、光源氏亡き後、源氏物語後半の主人公、薫と匂宮では紫式部さんは香り(体臭)を人物像を具現化する目的でも用いています。
平安時代はお香が日常であったため、「香り」が文章に与える、読者に与える効果やテクニックを疑問に思わなかったのではないでしょうか?
Bridge and Blend「Six in Sense」は源氏物語にも登場する調香を忠実に再現した香りですが、多くのお香メーカーやブランドでも源氏物語の各帖をテーマとし、登場人物や物語のイメージを香りやデザインで表現しています。
源氏物語と香りは終わりなき旅なのです。
Have a Scentful Day!
画像:かおり&やすらぎ